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新訳 あしながおじさん



監 訳
近藤 裕子

翻 訳
市原 素子 影山 和男
中家 多恵子 広部 千津子
滝宮 ルリ    

監訳者のことば
 バベルの「古典新訳」シリーズから『あしながおじさん』をお届けすることになりました。
ジーン・ウェブスター著の『あしながおじさん』は、あらためてご紹介するまでもない青春小説の名作で、ジュディのユーモアあふれる手紙とイラストに忘れえぬ思い出をお持ちの方も大勢いらっしゃるでしょう。
 今回の新訳ワークショップには“あしながおじさんマニア”が集うのではないかと思っておりましたが、ワークショップに参加された5人の皆さんは必ずしもそうではありませんでした――この名作をほとんどご存知なかった男性の影山さん、子どものころから何冊もの翻訳を読んでアニメ版にも精通しておられた滝宮さん、少女期には一応愛読したとおっしゃる中家さん、フレッド・アステアとレスリー・キャロン主演の往年のミュージカル映画をご覧になった広部さん、そして「恥ずかしながら既訳を読んだことがない」と告白なさった、ハワイ在住の市原さん。すでにすばらしい翻訳が多数ある作品なのでどんな新味を出すか、皆さんそれなりのプレッシャーを感じておられたようですが、掲示板でやり取りを重ねた結果、既訳のことは忘れて原作にまっすぐ向き合えばおのずとオリジナリティは生まれる、と信じて取り組むことになりました。翻訳にあたっては、小細工はせず、原作のエスプリを十分に出して、児童書ではなく大人向きの読み物を目指すことを共通認識としました。
なお、この作品を、従来の縦書き出版ではなく、横書きで出すことについては、横書きにしたほうが原文の形式を生かすのに都合がよく、しかも若い女性の手紙らしい現代的な感じが出るということで、皆さんの意見が一致しました。
 原作は100年近く前に書かれたものながら、それほど古びた感じがしません。
1901年にヴァッサー・カレッジを卒業した著者ウェブスターの分身のようにも思えるジュディは、聡明だけれども柔軟でユーモラスで、それに何より、自己プレゼンテーションの達人です。ジュディの魅力満載の手紙を存分にお楽しみいただけたでしょうか。
 最後になりますが、監修者の私は、小学生のころ読んだ『あしながおじさん』の影響で寄宿舎生活に憧れ、進学時には両親に懇願して寄宿舎に入れてもらいました。
残念ながら、私自身の寄宿舎生活は、華やかなダンスや豪華なイブニングドレスとは縁のない質素なもので、ジャーヴィ坊ちゃんのような素敵な男性とめぐり合うこともありませんでした。
でも、そこで、ジュディにとってのサリーのような、生涯の友人を何人も得られたことは、幸せだったと思っております。

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